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乱形石貼り

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乱形石貼り

お庭に多様性をもたらす乱形石貼り

乱形石貼りとは、加工した後に残った石材の端など、色もサイズも形も異なるものをパズルのように組み合わせて貼っていくテクニックのこと。温かみのあるソフトなオレンジやイエロー、ベージュ、さらによく見ると青みがかったグレーなどの寒色系も混じり合い、カラフルで華やかなスペースを作ります。それでも全体のトーンは揃っているので、カラフルでも調和と落ち着きを感じることができます。

例えば、葉っぱの色を「緑」とひと言で表現しても、実際には黄色に近い明るい緑から濃く暗い緑まで数百の色が存在するように、自然界は様々な色彩で溢れています。乱形石の彩りは、自然の持つ多様性や豊かさを表現しているかのよう。色だけでなく、様々に異なるサイズや形のパーツが集合し、ひとつのスペースを造り上げるのです。それは私たちの社会と似ているかもしれません。

複雑でいて、全体が調和した美しいスペースを作ってくれる乱形石貼り。しかし、すべてのパーツがサイズも形状も異なっているため並べ方は難しく、雑に施工するとあまり魅力的ではなく、単に乱雑な印象となってしまうこともあります。ですので乱形石貼りを行う際には、目地幅が均一になるよう石の端をカットしながら作業を進めるということが重要なのです。このとき注意しなくてはならないのは、あまり”手を加え過ぎない”ということ。雑に施工してはだめ、目地幅は揃えなければならない、という丁寧な作業が必須の乱形石貼りですが、手を加え過ぎるのもいけない、というのはどういうことなのでしょうか。

実は、整えすぎると石の形が似通ってしまって、せっかくの乱形特有の持ち味が失われてしまうのです。すべてのパーツが異なる形と色を持つことで多様性のある美しさが生まれる、それが乱形石貼りの最大の魅力。形を揃えるためにカットし続ければ結局単なる四角形となり、個性が消えてしまうのです。

それぞれのパーツの個性を生かしながら、全体を調和させる。このさじ加減は教科書で学べるものではなく、経験とセンスがものを言います。いい腕を持つ職人さんが並べた石の格好良さと言ったら…!惚れ惚れするほどです。

使う石の種類を増やすことで、色や質感にバリエーションを持たせることができるのも、乱形石貼りのおもしろいところです。ただ、種類の違う石を使うと、それぞれの石ごとに滑り具合が微妙に異なるので、転倒防止のため目地幅を6mm以上にして、できるだけ雨水を目地部分に誘導しなければいけません。このように、乱形石貼りはデザイン的なセンスだけでなく、安全確保や快適な使い心地を実現する技術も必要とされる作業なのです。

完成時の良し悪しは石工の腕にかかっています。お客様は実際に作業を行うわけではありませんが、こうした知識の裏付けがあることは、さらに美しく快適なお庭作りの要素として欠かせないポイントなんですよ。 知識と技術に裏打ちされたエクステリアこそが本当の美しさをまとうのです。



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